ラピダスで半導体エンジニアとしてはたらくリアル ~北海道で国家プロジェクトに関わる2名の技術職社員に直撃取材~Vol.1

次世代半導体の国産化を目指す半導体企業「Rapidus(ラピダス)株式会社」(以下、ラピダスと表記)。北海道・千歳市に新工場を建設し、2027年4月からの量産開始を目指して今年4月から試作ラインが稼働中。UTエイムでは、ラピダスをクライアント企業として、2024年12月に千歳キャリアセンターを設立しました。
今回、ラピダスではたらく半導体エンジニアの2名にインタビューを実施。「なぜラピダスへの異動を決意したのか」「ラピダスでどのような働き方が実現できているのか」「私生活はどのような変化があったのか」。ラピダスに所属する半導体エンジニアの”リアル”を、2名の技術職社員に語っていただきました。
Aさん
学生時代は家政科を専攻し、高校時代からアルバイトをしていた大手ピザチェーン店へ21歳で入社。店長として売上管理、人材教育、広告戦略など店舗運営にまつわる一連の業務を担当。土日休みと給与面の条件を前提に転職活動をし、2018年にUTエイムに入社。北海道・苫小牧で自動車製造工場に配属されるも、機械保全に興味を持ち、2023年に大和CFへ異動。フィールドエンジニアとして半導体装置の立ち上げ業務に従事。2024年に千歳キャリアセンターへ異動し、ラピダス株式会社に配属。好きなアニメはワンピース。
Bさん
専門学校でイラストや漫画を学び、モノづくりへの興味から22歳で製造業へ。半導体メーカーで品質管理等を経験し、2009年日本エイム(現・UTエイム)に入社。松島FC(現・大和CF)に配属され、半導体装置製造メーカー「東京エレクトロン」のエッチング※1 製造部に所属。約17年、フィールドエンジニアとして半導体製造装置の立ち上げ業務に従事。装置の組み付けと稼働させるためのソフトウェア調整も担当。2024年に千歳キャリアセンターへ異動し、ラピダスに配属。マイブームは、お笑い芸人のジェラードン。
1.ラピダス異動までのストーリー
Aさん:私は、入社時、自動車製造工場の配属となり加工業務に従事していました。頻発する機械トラブルのたびに保全チームの方が修理してくれる姿を見て「かっこいいな」と憧れを持ち、「機械に関わる仕事がしたい」と大和CFへ異動しました。異動後は、東京エレクトロンの現場で、エッチング装置のスタートアップ業務に従事。四日市やアイルランドなど国内外へ出張し、装置の立ち上げをする仕事を約1年間担当しました。
Bさん:私は、入社時から半導体装置メーカー「東京エレクトロン」に配属され、約17年間勤務していました。担当していたのは、エッチング工程(ドライ工程※2)の装置のスタートアップ業務です。スタートアップ業務とは、装置を完成させたあと、お客様の工場へ運ぶための分解・梱包・出荷作業にはじまり、お客様の工場へ出張して装置を組み付け、電源を付けて稼働するかの検証、ソフトウェアの調整業務などです。現在は作業ごとに担当が分かれていますが、入社当時はすべてをワンストップで習得しなければなりませんでした。本来数年かけて覚える内容を、100ページ近くある分厚い指示書を手渡されて、2か月で覚えないといけない状況で。現場でのOJT※3で一つひとつ覚えていきましたね。
※2…ドライ工程とは、エッチング工程のなかの一部で、ウエハーの表面を薬液を使わずに反応性ガスやプラズマを利用して加工する工程のこと。
※3…OJTとは、On-the-Job Training」の略で、職場での実務を通して知識やスキルを習得する育成方法。
Q. お二人とも2024年12月に千歳キャリアセンターへ異動され、ラピダスへ配属されたと聞いています。異動の経緯や決め手について教えてください。
Bさん:私が異動を決めた理由は2つで、新しい挑戦をしたかったのと、自分のスキルと待遇を向上させたかったからです。スタートアップ業務をワンストップで担当していた頃は、業務の幅が広く、さまざまな経験を積むことができました。しかし、分業体制が整うなかで、少しずつ仕事の範囲は限定的に。また、東京エレクトロンの社員が担当する新装置の試験開発に携わりたいという思いも強くなり、現状担当する業務とやりたいことのギャップに悩むようになりました。自分のスキルと待遇を向上させたいと考えていたところ、マネージャーの方から異動のお話をいただきました。17年以上在籍していたので、その経験を活かしつつ、デバイスメーカーで新たな挑戦ができるということ、そして、給与などの待遇も向上できるという点に魅力を感じ、異動を決意しました。
Aさん:入社当初、私は北海道・苫小牧の自動車工場で働いていました。その頃から「ラピダスが建設される」という話は耳にしていて。「国家プロジェクトで新工場の立ち上げに関われるなんて、かっこいいなぁ」と、憧れていました。その後、大和CFへ異動。異動後、面談で管理者の加賀専経さんが「将来はラピダスへ進むという道もあるよ」と教えてくださりました。もともと憧れを持っていたこともあり「ラピダスへ行きたい!」という気持ちが膨らみましたが、当時は一定の経験がないと異動できず。「大和CFで経験を積み、いつかラピダスへ」と決めて、1年間装置の立ち上げ業務に励みました。その結果、ご縁をいただいて、念願のラピダスに配属となりました。
2.異動後に見えた「ラピダス」という会社の器の広さ
Q. ラピダスに配属されて、約半年ですが、どんな会社だと感じられていますか?
Aさん:派遣社員や正社員の区分を感じさせず、はたらく人全員をラピダスの一員として受け入れてくれる会社だと思います。ラピダスではそれぞれ所属する会社は違っても、同じチームの一員として支え合う、そんな文化を感じますね。これまでの職場の中で一番「人に恵まれている」と心から思います
Bさん:私たちが所属しているドライ工程は約10名体制で、そのうち6名がUTエイムのメンバー。現在は、男性4名、女性2名で、20代から50代までのメンバー構成となっています。このチームをリードしてくれているのが、ラピダスのエンジニアの方々。みなさん半導体製造装置メーカー等で何十年と経験を積まれてきたとても優秀な方たちです。
Aさん:不安な業務は一緒に立ち会って指導してくださり、「Aさんのことを信じています」と、期待を寄せてくださるんです。その言葉をもらうと「もっと頑張ろう、頑張りたい」と思えます。そんな風に思わせてくれるラピダスという会社に出会えたことに、とても感謝しています。
Bさん:エンジニアとは、正解がないところに正解までのルートをつくる仕事。経験豊富なエンジニアの方ばかりなので、私がまだ経験のない仕事の対応方法など聞くと、必ず教えてくれるんです。上司が答えを持ってくれているのはありがいですし、とても頼りになりますね。「優秀な上司のようになりたい」と、成長意欲をかき立ててくれる会社です。
3.「選択肢が広がり、生活が豊かに」ライフスタイルの変化
Q.異動されて、待遇はどう変化されましたか?
Aさん:異動して、給与は2倍以上にアップしました。以前は家賃全額と、車がないと生活が不便だったため、車の維持費も負担していて。家賃が安い家に引っ越ししたり、車を売ったり、生活費を切り詰める必要がありましたが、今は生活にゆとりが生まれました。仕事も楽しく、給与もアップして、倍うれしい状態です。
Bさん:私も、以前と比べて手取りが2倍以上に増えました。新しい挑戦をしたいという思いで異動して仕事のモチベーションも高まっていることに加え、手取りが増えたことで、生活にハリと余裕を感じられるようになりました。
いかがでしたでしょうか。
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